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今月の展示
New Exhibition
昔昔今今-じゃくじゃくこんこん-
笹岡勇展

2017年10月2日(月)〜10月14日(土)
【Artist Talk】10/7(土)16時より対談形式で作品に隠された思いや出来事をお話します。
会期中無休
11:00-18:30


笹岡 勇「Crean Forever」2010/150?162/油彩・絹・パネル


笹岡勇展に寄せて

笹岡勇の展覧会である。題して「昔昔今今」。平たく言えば旧作と新作展である。
笹岡の現在までの軌跡は、誰も知らない。彼はあまり語らないがドラマチックに尽きる。
彼が多摩美術大学の油絵科を卒業したのは1960年、今から57年前である。
当時の彼の才能は一般の画学生とはレベルが違っていたと言ってもいい。
卓抜な画技は勿論、それを活かす知恵も、実力も、手腕も、抜きん出ていた。
その一例を振り返ってみよう。彼は多摩美在学中から一端のデザイナーとして、
日本橋の三越本店の宣伝部に在籍し、卒業後も2年間勤めている。その後移籍した広告代理店では、
デザイン企画制作部で活躍、三菱グループ(三菱重工業・三菱自動車)のアートデレクター室長として腕を奮った。
画家としてはどうだったのか、興味があるところである。1965年の「第23回創元展」で会員新人賞に輝いたのを手始めに、
数回の受賞を重ねて審査委員に推挙されている。
 彼はそれで満足しなかったが、作家活動は,その後もほそぼそと続けていた。
1972年、笹岡は今度は自前のデザイン事務所を立ち上げた。今までの、画家・デザイナーとしての知識を活かして、
収益力の厚い自動車板金、塗装専門工場を立ち上げる。以前、デイレクター室長として活躍した三菱とタイアップ、
三菱自動車,新菱整備などの関東地区工場の板金・塗装部門を全面的に請負い技術管理を任された。
三菱重工業の航空機や、YS機・MU機などの塗装を請け負う。
そんな時期に一つの転機が訪れた。笹岡は以前から美術と政治、社会性につき期するところがあって、
社会党が立ち上げた「市民と美術をつなぐ会」に一画家として参加することとなる。
それが中村正義が提議し多くの画家の協賛を得て立ち上げた「東京展」開催準備室への笹岡参加のきっかけともなった。
笹岡は東京展立ち上げまでの3年間、自分の事業をなげ打って無報酬の手弁当で関わり、
自己所有の自動車3台を乗りつぶし中村正義に「笹岡さんは霞を食べて生きているのか?」と不思議がらせることになる。
その「第1回東京展」は大成功で、笹岡が出品した作品《六価クロム》が大評判となり、
観覧者の人気投票すれば一番となったろうと今でもいわれている。

私は「東京展」での笹岡の掛け替えのない功績は、準備期間中、いろんな圧力に抗し献身的な働きで妨害や変節を防ぎ、
事務局を支えたことと、第1回展開催に際し、スター不足の作家を補完するため岡本太郎に白羽の矢を立て、
法政大学総長の中村哲宅に伺い、二人で岡本太郎宅を訪問し、立ち挙げの趣旨を説明して、
東京展に参加を要請して快諾を得たことである。
岡本太郎の笹岡への信頼は絶対的なもので、彼が「東京展」を去ることになって挨拶に伺うと、岡本太郎も君がいなくなってはと、
笹岡の慰留依頼を拒否し笹岡を振り切って、一緒に「東京展」を離れたことでも、その信頼関係をうかがい知ることができる。
近年開催された、岡本太郎と「東京展」はその時代をさぐるものであった。

それと、1978年の第4回展で実現した『ソ連亡命作家展』の企画実現である。
これは笹岡がフランスに出かけて亡命画家と面談し実現したもので、その渡航費用は羽黒洞の木村東介が、
懐から札束を掴んでポンとカンパしてくれたと笹岡が後に語る。
ここでは紙数がなく詳記できないが、これらの後遺症で笹岡が美術界と手を切り地方に隠棲し現在に至っている。

笹岡が隠棲後しばらくして、美術に生きてきた宿命でもあろう、地方の公募展に積極的に打って出て、
数々の受賞を重ねてきたのも事実である。今回の昔々の川の作品がそれである。川は川でも単なる川ではない。
例えば《Clean Forever》を見てみよう。男の子が、川の斜面の花が咲き乱れる川べりの土手上に、足を抱えて腰をおろしている。
その川に続く斜面の下方に、飲料の空き缶とペットボトルがさり気なく転がる。
人為的な自然への汚染と地球規模で迫りくる気象の温暖化への警鐘も内在している。
まだ見せて頂いてないが、近作は山であるという。その取材で富士山麓を散策し、今までの彼の富士山への考えが変わったと聞く。
そして彼なりの富士山を描いたと語る。是非拝見したいと期待をくらませている。

2017.8.28
笹木繁男(現代美術資料センター主宰)




笹岡 勇(ささおか・ゆう)1937年生まれ

創元展会員新人賞(第23回)
人間讃歌大賞展佳作賞(第11回)
マスターズ大賞展優秀賞(第10回)
上野の森美術館大賞展(第21回)
川の絵画大賞展佳作賞(第6回)
日本アートアカデミー賞(第2回)
天竜川絵画公募展準大賞(第5回)
小磯良平大賞展(第8回、9回)
東京展(第1回〜4回展)
その他 多数出品・受賞
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